本研究はガーナの内陸にある大都市クマシの周辺の複数の村落を対象に、同国の過去10年間の経済成長が農業生産技術に及ぼした影響を解明した。調査対象村の人口は10年間でほとんど変化がないが、成人人口に占める農業従事者の比率は大きく減少した。稲作については、従事者数に変化はないが、移民の比率は低下した。稲作とメイズ作の収益性を比較すると、10年間で逆転し、稲作の収益性の方が高くなった。稲作の面積に変化はないが、休閑が消え連続栽培が常態化し、改良品種、化学肥料、除草剤、防鳥ネットの利用が普及するなど、労働節約的な集約化が進展した。ガーナの順調な経済発展により食用需要が増大したことが原因と考えられる。
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