研究課題
本研究は国際食料産業クラスター戦略によって、食料安全保障と持続可能な農業農村開発を実現するための理論的・実証的研究を行うものであり、初年度の研究実績の概要は以下の通りである。理論面においては、1)空間経済学、知識創造論、ネットワーク論、ライフ・サイクル論などの研究成果に立脚しつつ、国際食料産業クラスター戦略の基礎となる理論的な分析枠組みについて考察を行った。具体的には、多様な主体の連携(ネットワーク形成)による知識創造を通じたイノベーションの誘発に着目し、協調優位戦略の理論のプロトタイプを構築した。実証分析の面では、2)フランスにおける食料産業クラスター、3)新潟県における健康産業クラスター、4)その他(中国内陸部における都市貧困者の食料安全保障、新潟県聖籠町の農業農村開発など)の実態調査を行った。まず、2)については、フランス・ナント市に研究滞在し、産学官のコア機関への予備調査を実施した。ナント市、フランス国立農学研究所、Angers大学、ESAなどの地域の行政・研究機関と情報交換を行うとともに、フランス西部におけるVegepolys、Valorialクラスターなどのコア企業へのヒアリングを実施し、特殊植物や健康・機能性食品の開発動向とクラスターの広域展開の状況を調査した。次に、3)については、新産業創出の事例として健康産業を取り上げ市場動向と制度の変遷を整理した。健康ビジネス協議会の会員企業の取引関係に着目し、社会ネットワークの分析を通じてクラスター内の協調・競争構造の解明とコア企業の特定化を行い、食品製造業を中心としたコア企業の経営戦略と北東アジアにおける国際食料産業クラスター形成の萌芽期の動態を明らかにした。また、以上の調査・分析結果に基づいて、協調優位に基づく産業クラスターのパフォーマンスの実態を定量的に評価するための調査票の設計を行った。
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