研究課題/領域番号 |
22580242
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
酒井 富夫 富山大学, 極東地域研究センター, 教授 (20225767)
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キーワード | 農業経済学 / 国際農業 / 直接支払制度 / 農業構造 / 北東アジア:EU / 国際研究者交流 |
研究概要 |
平成23年度は、韓国、EU、日本における直接支払制度に関する資料収集と現地調査を行った。 1.韓国農村経済研究院にて韓国の直接支払制度の制度設計の経緯、支払いの仕組み、所得保障の効果等について資料を収集した。慶尚北道安東市、醴泉郡の農村を訪問し、農業・農村の活性化への取り組みを調査した。 2.第8回東北アジア農業農村発展シンポジウム(テーマ:グローバル化に対応した農業と地域)に参加し、日本の直接支払制度下の構造変化と農村の対応について「地域農業の構造改革と農村振興-日本の場合-」を発表した。本シンポジウムにて、中国、韓国の制度および農村実態を比較することにより、日本の動向の特徴を把握することができた。 3.北東アジアとの比較を考慮し、EUの中の小規模農業地域であるドイツ南部、ミュンヘン市近郊農村を調査した。共通農業政策CAPの所得保障支払いがあっても大規模化は進展していること、大規模化や多角化の経営展開は家族的投資や協業の単位をはるかに超えており、マシーネンリンクや機械の共同利用組織などの組織的なサポートの中での展開であること、小規模農業として生き残るために再生可能エネルギーを含む多様な事業展開と就業機会の確保を協同組合として取り組む動きがあることなどの構造変化の実態を把握し得た。 4.日本の佐賀県の農業構造は、経営安定対策を契機に独自の集落営農路線をとっている。戸別所得補償の二毛作助成により、水田所得は比較的安定している。しかし、それが次への構造的発展を困難にしている側面もある点を把握し得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
22年度に引き続き、国際シンポジウム等で中国、韓国の海外共同研究者と情報交換を行ったこと、また韓国やドイツの現地調査を実施できたことにより、北東アジアとEUの比較分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、本課題研究の最終年度であるため、取りまとめに向けた補完調査等を行う。国内では、東北地方等への調査を進め、これまで調査した北海道、北陸、中国、九州等の調査結果とともに直接支払制度が農業構造に与えている影響について総合的に分析する。また、韓国やEU(ドイツ等)の補完調査等を行い、その影響の類似点と相違点を明確にする。
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