研究課題/領域番号 |
22580243
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
荒井 聡 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90212589)
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キーワード | 直接支払制度 / 集落 / 農業生産法人 / 水田高度利用 / 農業者戸別所得補償制度 / 集団転作 |
研究概要 |
2011年までの集落営農実態調査結果や、新たに刊行された2010年農業センサスなどの統計を整理し、集落営農組織の構造と機能に関する定量的分析を実施した。また2010年度の戸別所得補償モデル対策、及び水田経営所得安定対策に加入した集落営農への政策効果を検証した。さらに実証研究では、岐阜県、福島県で主として複数集落を基礎とする集落営農組織の現地調査を実施した。関係機関へのインタビュー、資料収集、組織役員へのインタビューなどを実施した。調査研究内容は、農業者戸別所得補償制度、水田経営所得安定対策など直接支払い政策への取組、農家各階層の政策の受け止めなどである。 これらを通じて新たな政策体系のもとで、集落営農での直接支払いによる助成金の帰属・活用方法、組織の中心的な担い手の形成のあり方、高齢・兼業など自己完結的な零細経営の対応などを明確化した。すなわち、対象を全農業者に広げた直接支払制度(農業者戸別所得補償制度)への移行により、中山間地域において集落営農の形成に効果があり、しかもそこでは集落規模が小さいこともあり、集落の領域をこえた連携が進んでいることを明らかにした。集落の領域を超えた集落営農の連携は、収穫機械の共同所有・共同利用までに展開し、水田の集団転作の実施へとつながり、ここでは大豆作、飼料用米などの生産が拡大し、水田の高度利用に寄与していることを明確化した。もって、耕作放棄地の解消にも効果があることを示した。これらの成果は、荒井聡「戸別所得補償制度モデル対策の集落営農における効果と意味」(農業と経済2011)、谷口らとの共著『民主党農政1年の総合的検証』(農林統計協会2011)などとして公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかの実証研究により、新たに展開されている直接支払制度が、特に中山間地域において集落の領域を超えた営農組織が形成に効果があることを実証し、またそれが農業生産法人の形成と水田高度利用にも寄与してきていることも明らかにしており、論文等として公表もしている。
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今後の研究の推進方策 |
直接支払制度が、特に中山間地域の集落営農の形成と集落の領域を超えた農業生産法人化に一定の効果があることがわかったが、これを集落営農実態調査結果の最新統計の分析により一般化・抽象化する。また、平地農村地域での実証を加えることで、その効果についても検証していく。さらに、直接支払制度の交付対象の取り方による効果についても検討し、直接支払制度が集落の領域を超えた農業生産法人の形成に果たす役割等について総合的に考察していく。
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