研究課題/領域番号 |
22580250
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
横溝 功 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (00174863)
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キーワード | 心理的ベネフィット / 機能的ベネフィット / リピーター / 耕畜連携 / 美味しさの客観化 / 認知への努力 |
研究概要 |
今年度も、昨年度と同様に畜産物加工やプライベート・ブランド化(以下、PB化)に取り組んでいる酪農経営2戸、養豚経営1戸、採卵鶏経営2戸へのヒアリング調査や資料収集を継続的に行った。その結果、以下の知見を得た。 1加工製品・PB化において、調査事例では、消費者の機能的ベネフィットと心理的ベネフィットを高める努力をしていることを、明らかにした。機能的ベネフィットは、当該製品を食べた時の美味しさに依存し、心理的ベネフィットは、当該製品の持つストーリーに依存する。消費者が、この二つのベネフィットを金額で評価し、下記の式が成立するとき、消費者は、リピーターになる。 {機能的ベネフィット+心理的ベネフィット>製品の価格+機会費用} (1)心理的ベネフィットには、地域資源の有効利用が貢献する。調査事例では、飼料用米の活用、稲WCSの活用をあげることができる。このように、耕畜連携が心理的ベネフィットに貢献することになることを仮説とした。 (2)機能的ベネフィットの美味しさは、主観的なものである。しかし、調査事例の中には、大学等に研究を依頼し、自らの製品の成分分析を行ってもらい、美味しさを客観的なデータで証明していた。 2他の製品との差別化と同時に、製品をいかに販売するかが、重要である。すなわち、多くの人に製品を認知してもらう必要がある。その際、積極的なマーケティング活動が求められる。例えば、展示会やイベントの機会があれば、できるだけ参加することが、肝要である。このような認知への努力が、消費者の拡大につながっていく。また、当該の努力が、マスコミの耳目に触れ、取り上げられるのである。以上の調査研究の結果、ブランド化への製品の向上努力があって、マーケティング努力が生きてくるということを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、三つの畜種毎の畜産経営5事例について、継続調査が進展している。継続調査によって、加工やプライベート・ブランド化の経営努力の本質が、明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(平成24年度)は、同様に、三つの畜種毎の畜産経営5事例について、継続調査を進める。ただし、当該事例では、養豚経営が1例事例に留まっているので、黒豚(バークシャー)という品種にこだわった養豚経営の事例を追加して調査を実施する。これらの成果を基に、学会での報告や学会誌への掲載を目指す。
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