最終年度も、過去2年間と同様、畜産物加工やプライベート・ブランド化(以下、PB化)に取り組んでいる酪農経営2戸、養豚経営1戸、採卵鶏経営2戸のヒアリング調査や資料収集を行った。その結果、マーケティングの分野で、新たに以下の知見を得た。また、テーマに用いている「加工」、「PB化」だけではなく、消費者へ直売している事例を、「6次産業化」と定義づけた。 1 消費者や消費者グループ(生協等)に、直接、販売することは、生産者にとって、大きなメリットがある。第1に、消費者や消費者グループがリピーターになれば、一定の金額で販売できる。第2に、消費者の製品に対する生の声を聞くことができる。後者は、消費者や消費者グループをリピーターにできるかどうかの大切な情報源になる。この情報を、生産部門や加工部門にフィードバックできるような仕組み作りが肝要である。 2 防疫上の問題でクリアーすべき点はあるが、消費者や消費者グループに、農場を訪問してもらうことも肝要である。生産や加工の現場に触れてもらうことで、前述の心理的ベネフィットを高めることにもなる。 3 マーケティングで留意すべき点は、製品の直接販売において、欠品をいかに回避するかということである。これに関しては、「製品を100%直接販売とするのではなく、一定の割合を市場販売して、バッファーとしての機能を持たせる」と回答している。欠品は、生産者と消費者の信頼関係に影響するのである。 最後に、生産者と消費者が、短期的な取引ではなく、長期的なつながりになることは、生産者にとって、大きなメリットがある。そのためには、生産者サイドでは、消費者の生の声をいかに生産部門や加工部門で活かしていくかが、大切である。すなわち、生産者と消費者の信頼関係の構築が大切であることについて言及した。
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