研究課題/領域番号 |
22580254
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
仲地 宗俊 琉球大学, 農学部, 教授 (70180312)
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研究分担者 |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 准教授 (30333397)
坂井 教郎 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (80454958)
吉永 安俊 琉球大学, 農学部, 教授 (80045129)
兪 炳強 沖縄国際大学, 産業情報学部, 教授 (80310069)
仲村 一郎 琉球大学, 農学部, 助教 (70381209)
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キーワード | 赤土等流出防止対策 / サトウキビ春植え / 農家の連携 / 直接支払い / 水田の堆砂機能 |
研究概要 |
平成23年度は赤土等流出防止の取り組みの支援方策及び水田の堆砂機能等に関する調査を行った。その結果、次のことが明らかにされた。 1石垣島において農家を対象に赤土等流出の原因と対策、サトウキビ春植えに対する意識等について聞き取り調査を行った。その結果、赤土等流出の原因として、周辺の圃場(牧草地)や道路からの水の流入が多く指摘された。その対策については、行政による事業を除いては農家が個別に行っており、農家同士が連携して取り組む体制にはなっていない。また春植えについては、手間・費用がかからない、作業が分散できるといった利点があげられる一方、台風に弱いなどの不利な点もあげられた。 2株出し転換のための直接支払いと転換面積の関係について検証するために、石垣島において40戸の農家を対象にアンケート調査を実施した。その結果、農家の認識としては、10a当たり20,000円程度の支援であればかなり株出し栽培への転換が進むが、15,000円程度であればその効果は限定的になることが明らかにされた。 3「農地・水・環境保全向上対策事業」による赤土流出等防止対策の取り組みを把握するために、久米島において地域団体の活動に関する聞き取り調査を行った。その結果、沈砂池や排水溝に堆積した土砂の浚渫を行っていることが分かった。 4水田の堆砂機能を調べるため、2,900mg/L濃度の赤土濁水を水田に流し、赤土濁水の流下状況、堆積状況を観察した。流入濁水濃度2,900mg/Lに対し、流入終了後20分までの流出濁水濃度の平均値は100mg/L程度であった。赤土は流入口付近で堆積し、流出口付近ではほとんど堆積しなかった。これらのことから、水田の赤土堆積機能は大きいことが確認できた。 5飼料稲の1株植栽本数について、乾物生産及び収量の面から検討した。その結果、植栽本数を多くすることで耐倒伏性が高まる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
赤土等流出防止対策を適正農業規範の視点から検討し流出防止のプログラムを策定するために、平成22年度に、サトウキビ春植え+株出しの技術的課題とこの作型を取り入れる農家を支援する取り組みが把握できた。平成23年度は、農家における赤土等流出対策、サトウキビ春植えに対する農家の意識、農地・水・環境保全向上事業における赤土等流出防止の取り組み、水田の堆砂機能等の把握ができたことから平成24年度(最終年度)におけるとりまとめが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
平成22年、平成23年の研究成果と残された課題の検討を踏まえて最終年度におけるとりまとめを行う。個別的な課題としては、作業受委託を介したサトウキビ春植上え+株出しへの支援の仕組みの構築、赤土等流出防止対策支援のための基金造成に関するCVM調査の分析がある。本研究の主課題である適正農業規範の考え方及び赤土等流出防止プログラムのうち、適正農業規範については亜熱帯島嶼地域における自然的、社会経済的条件を踏まえて検討する。また赤土等流出防止プログラムについては、地域の農業構造を踏まえ、これまでの赤土等流出防止対策の整理と組み合わせ、これらの取り組みに対する支援体制の形成(各種支援の連携または結合)を目指す。
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