研究課題/領域番号 |
22580256
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
富岡 昌雄 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (20074081)
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研究分担者 |
増田 佳昭 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80173756)
小谷 廣通 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (70105055)
増田 清敬 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (20512768)
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キーワード | 水田農業 / 気候変動緩和 / 農業環境政策 / 水稲作 / 温室効果ガス / 飼料用米 / 冬季湛水稲作 / メタン |
研究概要 |
本研究は水質保全など地域環境問題への対応を主な目標として発展してきた農業環境政策に地球温暖化防止への貢献を組み込むための方向性と政策手法を、農業環境政策の先進県の1つである滋賀県の現場から明らかにしようとするものである。本年度の研究成果は、以下の4点である。 第1に、ライフサイクルアセスメント(LCA)を用いて慣行水稲栽培の温室効果ガス排出量を評価した。これは環境保全型稲作の脱温暖化効果を評価する際にベンチマークとして使用することができる。 第2に、LCA評価に用いるために冬季湛水稲作の経営データを収集した。また、2、3月における冬季湛水水田からのCH4放出量を測定したところ、気温の高い日には約4mg/m2/h程度あるが、ほとんどゼロであることが確認された。 第3に、飼料用米の生産実態と政策動向について調査し、生産が急激に伸びていることを確認した。また、飼料用米を給与して生産された鶏卵に対する消費者の評価を調査したところ、「国産飼料による自給率向上」の認識は低いことが明らかとなった。このことは飼料用米利用による飼料コストの増蒿分を畜産物消費者に転化することが難しいことを示唆している。 第4に、LCAを用いて茶作における温室効果ガス排出量を推計したところ、窒素施肥に伴うN20の放出が極めて高い割合を占めていることが明らかとなった。茶作においては地下水の硝酸塩汚染を防止するための窒素低投入型栽培がそのまま脱温暖化対策にもなるが、これに対して、水稲作においては温室効果ガス排出量に対するメタンの寄与率が高いため、水質保全のための環境保全型稲作がそのまま脱温暖化対策になるとは限らない。したがって、水稲栽培では、脱温暖化と水質保全という二つの環境対策間での競合も想定しなければならないことが示唆された。
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