研究課題/領域番号 |
22580264
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
市田 知子 明治大学, 農学部, 准教授 (00356304)
|
研究分担者 |
石井 圭一 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (20356322)
|
キーワード | EU / 条件不利地域(LFA)政策 / 直接支払い / 農業環境政策 / 農政改革 / ドイツ / フランス / 中山間地域 |
研究概要 |
平成22年度は、LFA政策を含むEUの農政全般に関して、現地の情報誌を用いて正確な現状把握を行うとともに、日本における類似の政策である中山間地域等直接支払の実施上の問題点について現地調査を行った。EUでは2010年11月、2014年以降の共通農業政策(CAP)全般について、欧州委員会が改革案「2020年に向けての共通農業政策-将来の食料、自然資源、地域的な挑戦に応えるために-」を提示した。それによると、従来、主として農業者に対する直接支払いを行ってきた「第一の柱」は、加盟国、地域、農業者の状態を問わず一律に適用される「基礎所得助成」、自然的制約に対する補償(暗にLFA政策を指す)、環境保全的な営農行為の中でも単純で一般的なものに対する支払いに限定され、一経営あたりの受給限度額が設定される。一方、従来、LFA政策をはじめとする農村地域振興を行ってきた「第二の柱」は、自然環境、気象変動をこれまで以上に考慮した技術革新や投資、それらによる農村地域の雇用機会創出、さらに農業者のための経済リスク・マネジメント(収入保険)に絞られる。この改革案に対する反応は加盟国によって様々であるが、LFA政策を「第一の柱」に移し、削減にもつながる案についてはほとんどの国が難色を示している。なお、2011年3月にフランス、スイスの国境地帯ジュラ山地で現地調査を行う予定であったが、渡航直前に発生した東日本大震災により、同調査は23年度に延期することになった。
|