研究概要 |
本研究は、中東欧諸国と東南アジアの移行国の農業部門に焦点を絞り、持続可能な農業発展のために必要となる生産性、生産効率性の変化の決定要因を比較分析・理解し、その結果をもとに政策分析を行い、この地域の移行期経済が持続可能な経済成長をとげるための政策や制度に関する包括的な政策的含意の導入を図ることを目的とする。 具体的には、経済の改革解放への政策転換後、ことにASEANやWTOへの加盟がもたらした、生産性(TFP)の変化の違い、生産効率性(Nolrovian efficiency,technical efficiency,allocative efficiency,scale efficiency)の変化の違い、収益性(standard gross margin)の変化の違い、農家所得の変化の違い、農村における雇用創出力の変化の違いを説明する要因を、個票レベルのデータを使い、ベトナムとラオスの事例について、国単位で横断的に比較することにより明確化する計画である。それを踏まえた上で、中東欧を代表するポーランドとハンガリーの事例との比較分析を行い、より一般化した形の政策的含意の導入を図る作業を行う予定となっている。 第1年度にあたる本年度は、まず文献のサーベイ、海外共同研究者からの情報・データ提供を受け、データベースをつくる作業から始めた。その後補完的に東南アジアと中東欧から収集するデータをリストにして、質問状を作成した。また、現地の統計書からも必要部分に関してデータベース化を図った。次に、研究代表者が東南アジアと中東欧のフィールドに入り、現地の共同研究者と共に、パイロット調査をベトナムとラオスにおいて実施した。その上で、Fare et al.(1994)が使ったアプローチを参考に、収集したデータを分析する枠組みを構築した。
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