研究課題/領域番号 |
22580272
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石井 敦 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (90222926)
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キーワード | 巨大区画水田 / 大規模経営 / アーカンソー州 / 複合経営 / コスト削減 / 節水 / 圃場整備 |
研究概要 |
本研究の目的は、外国の大規模稲作経営および水田区画形態の実態分析を行い、日本における大規模稲作経営および巨大区画水田整備の可能性について検証することである。2年目の本年度は、アメリカアーカンソー州の大規模稲作経営体(5軒)および灌漑管理組織を対象に、現地調査を行った。アーカンソー州はアメリカ内でもっともコメの生産量が多い州である。" 結果、アニカンソー州の大規模稲作経営体は、稲作面積では1人あたり100haを超えるものが多数あること、6年前調査時には数件しかなかった16ha単位の畦無し巨大区画(ゼログレード)が、今回の調査では採用している農家が相当数増えていること、巨大区画化によって農作業効率が向上するだけでなく、水路等の維持管理が容易になり、また、用水管理も容易になることから節水が可能になっていること等が、実証的に明らかになった。 また、水稲以外に麦、牧草等を組み込む複合経営となっている経営体が多いが、日本のように全面的な輪作はせず、稲作は水田に適する箇所に固定し、その他の畑作の間でのみ輪作を行っていること、複合経営は作業員確保および農業機械の稼働効率上好ましい体系であることも明らかになった。 また、農業経営体が大規模化することにより、農業用水を管理する灌漑組織の配水管理も、配水調整が少なくなる分、容易になり、日本の水田灌漑用水管理組織(土地改良区)とは異なった省力的かつ節水的な灌漑管理方式(番水)が可能となっていることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、アメリカアーカンソー州の大規模稲作経営体を調査することができた。昨年度のオーストラリアの調査結果は学会誌に投稿し掲載された。これまでの調査結果から、オーストラリア、アメリカで、日本でも国際競争力を持った大規模稲作経営を行うことが可能と考えられるようになった。以上より(2)と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
日本と比較すべき先進国の稲作として、アメリカ・オーストラリア以外に、イタリアの大規模稲作経営がある。当初の予定を変更してイタリアの調査を次年度行うか、当初の予定通りオーストラリアの補足調査を行うか(複合経営の作業配分等の分析に不十分な箇所がある)、これまでの調査結果を再検討した上で、いずれかを実施する。
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