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2011 年度 実績報告書

ベトナム中部におけるダム建設が河川およびラグーン水質に及ぼす影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22580274
研究機関岡山大学

研究代表者

前田 守弘  岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (00355546)

研究分担者 近森 秀高  岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (40217229)
キーワード窒素 / リン / ラグーン / 河川 / ダム / ベトナム / 農業 / 都市化
研究概要

ベトナム中部に位置するテュア・ティエン・フェ省は,フエ市を中心に農業近代化,都市化が急速に進行している.同省最大河川のフォーン川はラオス側山岳地帯から太平洋沿いのタムジャンラグーンに向かって注いでおり,上流では洪水調節,水力発電,灌概等を目的とした大規模ダム建設が進んでいる.本年度は,プランテーション地帯,水田地帯,フエ市街,フエ市下流ラグーン流入地帯,ラグーン内における水質モニタリングに加えて,河川水位の観測を行った.また,日雨量データを基にタンクモデルを用いて流量時系列を発生させ,これと水質観測データとに基づいて得られたL-Q式を適用して,無機態窒素濃度の季節的変化を推定した.
フォーン川水系の水質調査では,雨季,乾季を問わず,市街地支流において窒素,リン濃度が高いことがわかった.雨季には水位が3m近く上昇し,市街地では洪水が発生した.また,ラグーン内の準集約的および粗放的エビ養殖では栄養塩インプットが大きく異なるにもかかわらず,底質の物理化学特性に有意な違いが認められなかった.
タンクモデルによる計算流量と現地観測データから得られたL-Q式に基づいて,無機態窒素負荷量の季節的変化を推定したところ,市街地の下流では,上流よりも無機態窒素負荷量が年間を通して高かった.このことは,市街地からの無機態窒素の負荷がフォーン川の水質に大きな影響を与えていることを示している.
以上のように,フォーン川流域では,市街地からの栄養塩負荷が大きいことがわかった.今後は,経済発展に伴う流域状況の変化とそれに応じた水質変化を明らかにする予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

定期的な水質モニタリングにより,フォーン川水系の水質の現況が明らかにされつつあり,また,限られた水文水質データを用いて同水系における水質の季節変動を定量的に把握しつつある。

今後の研究の推進方策

経済発展に伴う流域状況の変化とそれに応じた水質変化を明らかにする.気象観測データおよび流域状況の統計データが不足しているか,入手が困難である.現地研究者と共同しながら,入手可能なデータで最大限の成果をあげたい.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 家畜排せつ物の利活用と水質問題から考える有機物管理の次世代パラダイム2012

    • 著者名/発表者名
      前田守弘・河野憲治・谷山一郎・上薗一郎・脇門英美・加藤邦彦・井上京・中村真人・板橋直・矢部光保
    • 雑誌名

      日本土壌肥料学雑誌

      巻: 83巻 ページ: 203-209

  • [雑誌論文] 部門別進歩総説特集第8部門環境環境保全2011

    • 著者名/発表者名
      川崎晃・前田守弘・原田久富美・河野憲治
    • 雑誌名

      日本土壌肥料学雑誌

      巻: 82巻 ページ: 567-577

  • [学会発表] ベトナム国フォーン川およびタムジャンラグーンにおける水質概況調査2011

    • 著者名/発表者名
      前田守弘・近森秀高・石黒宗秀・浅野裕一・Le Cong Tuan・Tran Thi Thu Ha
    • 学会等名
      平成23年度農業農村工学会大会講演会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県)
    • 年月日
      2011-09-08
  • [学会発表] 有機物施用畑における窒素循環と硝酸性窒素の溶脱2011

    • 著者名/発表者名
      前田守弘
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2011年度つくば大会
    • 発表場所
      つくば市国際会議場(茨城県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-08-10

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公開日: 2013-06-26  

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