トンボ類は、水田に生息する他の生物と同様に一時的水域に生活史を対応させている。トンボの幼虫は、乾燥した長期間を湿った土やデトリタスに隠れて生き延びている。水田に依存するトンボ類幼虫にとって、乾燥状態の変化をもたらす灌漑システムの変化は生存に大きな影響を及ぼす。本研究では、水田に生息するアカネ属幼虫を用いてライシメータや室内実験をおこなった。実験の結果から、中干し管理の実施時期によってアカネ属幼虫の個体数に大きな差が生じることが明らかとなった。特に気候変動に伴う早期中干しは、幼虫の生存率の低下を招く。中干し実施時期と幼虫生存率の関係を理解することは、水田に依存したトンボ類全般の保全に重要である。
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