研究概要 |
水域のネットワーク化による魚類個体群の再生過程をモデル化するためのサブモデルとなる,個体の移動モデルを構築した.移動モデルは,50日間を1単位期間として,定住型個体,移動型個体の2タイプを考慮可能なものを開発した.野外の魚類個体群においては,このように移動特性において性質の異なる個体の存在が以前から魚類生態学分野で指摘されており,本研究で構築するモデルにおいてもそのような性質の異なる個体が混在していることを考慮する必要性が高い.構築するモデルにおいては,移動モデルによる7単位期間の計算により,約1年の間の個体の移動を表現するものと考え,試作モデル開発に向けてフローチャートの作成に着手した.ここに,プログラミング言語にはFortran95を用いることを予定し,以下で検討のパラメータ値を導入して,ネットワークの分断点を含む仮想の水路における個体群動態シミュレーションを実行できるようプログラムを試作することとした.試作モデルにおいては,複数メッシュへの分割により水路網を表現し,1単位期間ごとにメッシュ間の個体の移出入,移出入発生後の各メッシュ内の個体数を計算することを予定する.また,7単位期間ごとに,各メッシュの個体数は自然増加率rおよび環境収容力Kに従って個体群成長を行うものとする.以上のプログラム開発の検討とともに,個体群動態モデルの重要パラメータである,環境収容力Kおよび自然増加率rの設定値について,現地調査結果およびシミュレーションを用いて検討を進めた.
|