研究課題
地震学分野におけるコーダ波(後続散乱波)インターフェロメトリの概念の導入や応募者が開発、提案してきた全波形逆解析技術の適用により、従来活用されていなかった初動走時以降に現れる後続散乱波を考慮することによって、地盤の不均一な構造および水・物質挙動に対して従来の限界を超克する空間分解能・感度を有する、電磁波探査技術の開発を行う。それを人工的に作成した模擬地盤(実験土層)や野外の自然地盤で人工的に発生させた不均一な浸透流に対して適用し、同技術の実証試験を行う。以上の研究を通して、従来困難であった地盤中の選択的な水・物質の流れという現象を原位置で(現場で)評価解明する技術開発の提案を行う。本年度は開発、作成を行った数値コードをもとに水槽実験、土層実験そして野外試験それぞれにおける実験条件を想定し、電磁波伝播過程を再現するシミュレーションを実施した。コロラドマインズ大Roel Schnieder教授との共同研究によって、電磁波干渉法に基づく新たな測定法および解析手法を開発した。それが従来の電磁波探査法よりも高感度であり、選択的流れのような微小な浸透流を検出できることを確認した。提案手法は二つ以上の受信機による同時計測を前提とするため従来の市販の電磁波探査装置では計測不可能である。そこで東北大学佐藤源之教授との共同研究によって、汎用ネットワークアナライザおよびマルチチャンネル光電界センサと野外での制御と解析を可能にする数値演算プロセッサを搭載したPCから構成される、新たな計測システムの開発を行った。次年度の実証試験のための調査地選定のため現地踏査を行うとともに、地質特性の調査および電磁波伝播速度等の基礎特性の把握をした。研究成果の一部を米国地球物理学連合(2012年12月、サンフランシスコ)で発表した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画通り進捗している。
来年度は数値解析および計測技術の完成を目指すとともに、室内および野外での実証試験を行う。
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IEEE Geoscience and Remote Sensing Letters, B.2
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