研究概要 |
平成22年度に得た主な成果を以下に示す。 1.生食用リンゴだけでなく,モモやナシの人工的打撲傷の作成方法についても,予備実験を含めその妥当性を検討した。 2.リンゴ,モモ,ナシ果実の分光反射データの経時変化を計測・記録し,それらを統計解析する方法も検討した。特にリンゴ果実の打撲傷検出について,ROC曲線(Receiver Operating Characteristic Curve,受信者動作特性曲線)の応用について検討した。 3.当研究室の今までの研究成果を参照しながら,リンゴ,モモ,ナシの打撲傷を検出する波長域の特定及びその直線性を検討した。その結果,リンゴ果実の打撲傷については,今までの研究成果を再確認できたと同時に,いくつかの波長での分光反射データの比率を用いることにより,95%以上の精度で傷の有無が判別可能である結果を得た。2,3個の極めて少ない波長でも高精度で傷を判別できることは,実用化を考える際特に重要な成果である。 また,モモやナシについては,判別精度がリンゴに比べて低くなり,更なるデータの蓄積や統計解析方法などについて検討する必要がある。 4.打撲傷の経時変化と化学成分の関連性について,熟度や被袋処理の異なるリンゴ果実を用いて検討した。その結果,果実のポリフェノール含有量が分光反射率の時間的変化率と相関が高いことを判明した。これについて来年度も検討する予定である。
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