キュウリ果実において光合成産物欠乏条件で特異的に発現する遺伝子を探索するために、果実長約9cmの時期に全摘葉処理を行い、翌日果実を収穫して、対照果と発現が異なる遺伝子をサブトラクション法によってクローニングしたところ、ウリ科ゲノムデータベースのキュウリユニジーンVer.2に全て対応するものが見出され、それらから興味深いと思われるもの6種を選んでプライマーを作成し、定量PCRを行ったところ、転写因子と思われるジンクフィンガー様タンパクをコードすると思われる機能未知のものが摘葉処理によって発現量が約1000倍に高まった。未知遺伝子であるので興味深いとともに、光合成産物欠乏ならびに奇形果発生のマーカー遺伝子として有用な可能性が考えられた。果実の呼吸速度の測定を行ったところ、既報と同様の体積成長量と呼吸量の比例関係が再現され、比例定数も類似していた。そこで呼吸速度によって果実の成長活性を連続的に追跡しうると思われた。植物体を暗黒条件に置くと、当初の予想では、果実温が30℃程度の高温の場合、初期の成長・呼吸活性が高く、ある時点でカタストロフ的に活性が低下すると予想していたが、暗黒条件では呼吸活性は当初から抑制されており、呼吸速度はほぼ一定の低い値を取ったので、水ストレス処理等更に詳細な検討が必要である。
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