研究概要 |
圃場試験は茨城大学FSセンター試験農場で行い,管理方法の違いによってカバークロップ3水準(裸地,ヘアリーベッチ,ライムギ),耕うん3水準(不耕起,プラウ,ロータリー),窒素施肥2水準(Okgha-1,20kgha-1)とし,上記4反復,計72区画で試験を行った.年2回サンプリングを行い,採取したサンプルは深さごとに4つの層(0~2.5,2.5~7.5~,7.5~15,15~30cm)に分け分析を行った.土壌炭素の予測モデルはRothC(ローザムステッドカーボンモデル)を用いた. 0~30cmにおける土壌炭素貯留量の推移をみると、耕うん方法とカバークロップの利用により、土壌炭素貯留は著しく変化した。不耕起栽培での裸地およびカバークロップ利用並びにロータリ耕のカバークロップ利用で土壌炭素貯留量は増加傾向を示したが、プラウ耕の裸地およびカバークロップ利用並びにロータリ耕の裸地で土壌炭素貯留量はやや減少傾向を示した。また、試験開始5年後における土壌炭素量貯留量(春と秋の平均値)をみると、不耕起栽培の導入により、ロータリ耕やプラウ耕などの耕うん体系に比べそれぞれ0.04および0.40トンC/haの土壌炭素を増加させている。また、カバークロップの利用はそれぞれの耕うん方法において裸地に比べて著しく土壌炭素を増加させており、プラウ体系では、裸地に比べてライムギおよびヘアリーベッチ利用でそれぞれ0.62および0.42トンC/haの土壌炭素の増加が認められ、ロータリ耕体系では同様に裸地に比べてライムギおよびヘアリーベッチ利用でそれぞれ1.43および0.97トン/haの土壌炭素の増加が認められている。これに対し、不耕起体系では、ライムギおよびヘアリーベッチ利用で裸地に比べてそれぞれ1.16および0.65トン/haの土壌炭素の増加が認められた。Rothモデルによる予測値と圃場試験の実測値との関係から一定の近似関係(R2=0.8454)があった.モデルでは不耕起区においてライムギ区は裸地区に比べ土壌炭素量が30年で約25Mgha-1の差が出るという予測がされた.
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