研究課題
プラズマを利用すればウイルスや微生物、花粉などを不活化できることが知られている。申請者は、触覚をもつ昆虫が、空気が電離した領域‘プラズマフィールド’を認識し、その場を忌避することに着目し、昆虫忌避ネット‘プラズマリペラ’を開発することとした。本年度は、プラズマリペラを構成する材料を調査し、プラズマ形成に有効な誘電分極体を選抜し、この誘電分極体を用いて昆虫忌避ネットスクリーンを作製して、昆虫、特に害虫に対する忌避効果を検討した。害虫としては、施設栽培で問題となるコナジラミ類やアザミウマ類、アブラムシ類などの温室害虫、作物貯蔵庫で問題となるタバコシバンムシやコクゾウムシなどの貯穀害虫、生鮮食品加工場で問題となるショウジョウバエやイエバエ、ゴキブリなどの衛生害虫を中心に忌避効果を検討した。その結果、調査したすべての害虫がプラズマリペラスクリーンを忌避することが明らかとなった。さらに、このスクリーンの害虫遮蔽効果に対する能力を検討するため、小型の食品貯蔵倉庫の窓にスクリーンを設置し、害虫に対する忌避ネットの効果を調査した。3カ月を通して長期間の試験を実施したところ、装置の電源を入れずにプラズマを発生しない場合には、多くのタバコシバンムシやショウジョウバエが内部に侵入したが、装置を稼働させてプラズマを発生させた場合、倉庫の内部に侵入した害虫は発見できなかった。以上の実験は国際誌にとり上げられ、掲載されると判断し、得られた結果をCrop Protectionに投稿して論文掲載可の受理通知を受けた。
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Crop Protection
巻: 30 ページ: 155-162
doi:10.1016/j.cropro.2010.09.001