研究概要 |
本研究の目的は、プラズマフィールドを利用した害虫忌避スクリーンを開発し、害虫の侵入が問題となる栽培温室、青果物保存施設、穀物貯蔵倉庫に適用することである。昨年度までの研究において、プラズマリペラを作成するための材質とその構造が明らかになり、大型の昆虫忌避スクリーンを作製することができた。このスクリーンを栽培温室の横窓や天窓、または、青果物保存施設や穀物貯蔵倉庫に設置し、装置の実用化に向けた問題点を調査した。スクリーンは、風や雨などを直接受けることになる。そこで、雨に対してはシリコン樹脂よる防水加工を施し、風に対してはスクリーン内部に支柱を挿入することにより、風速10m以上に対する強度を付与した。また、装置を施設の窓に設置した場合、風通しに対する影響が現れ、施設内の温度上昇や湿度の上昇が危惧された。そこで、特に温度や湿度の上昇が予想される5月から10月の間、スクリーンの設置による室内環境を調査した。その結果、慣用的に用いられる防虫ネットを設置した対照区と比較して、室内環境は大きく改善され、夏場においても良好な環境が維持された。また、栽培施設に害虫の侵入はまったく観察されず、殺虫剤を使用せず、無農薬で植物を栽培することができた。以上の環境に対する実験結果は、既に、Journal of Agricultural Science に公表されており、装置の原理についての内容は、Journal of Electrostatics, Journal of Applied Physics, およびAnnals of Applied Biologyに公表されている
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