研究概要 |
本年度の研究は,防除管理支援Webシステムのプロトタイプ構築と,本システムをほ場現場から農薬管理を含めて利用する方策の提案を目的に実施した.支援Webシステムの構築に当たっては,農業者がほ場現場で端末機器により得た病状撮影画像をWeb上で直ちに解析し診断に利用できるようにするため,Webサーバの機能はリモートデスクトップ・サービスの利用を基本とし,端末機器のOSは,WindowsとAndroid,無線データ規格は3GとWiMAXに対応するものとした.そこで,プロトタイプ・サーバではWindowsOSのもとでフリーソフトTeamViewerによるRDPの実行環境を整え,半自動で画像解析プログラムを試行できるようにした.本システムの動作特性を調べるため,津軽地方水田(電波強度3段階)で,Smartphone(OS:Android,無線規格:3G),TabletPC(同)及びMobilePC(Windows,WiMAX)の3種の端末機を供試し,撮影画像の転送速度,画像解析時間,タッチパネル操作性等の条件について実験を行った.その結果,パネルサイズが小さいほど操作画面の拡大縮小に要する時間が長くなりサーバ側の延べ画像解析時間も長くなること,電波強度が弱の場合交信中に途切れることがあるもののサーバ処理には影響しないことなどが判明した. 次に,本システムの農薬管理利用の方策について,GPS情報の付随した病状画像をGIS情報,予察情報,防除暦及び農薬DBと連携させるクラウド・サービス的な利用を念頭に検討した.すなわち,農薬使用上の必要事項を満たし,かつ農業者の農薬に対する安全性や減農薬などの関心事項にも配慮できるように,地域の防除暦に基づく防除計画や購入・使用計画のサンプルの組込み,病害発生や防除対策の変更に柔軟に対応できるカスタマイズ機能の充実,農業者の画面操作の手順や思考を支援するため,「問い掛け」や「回答」などのExpertSystem的機能の装備などの重要性を指摘し具体案を考察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病害虫防除支援Webシステムのプロトタイプ構築がほぼ当初の予定通りに実施でき,Web上での送受信と画像解析に関わる諸条件の影響を明らかにした.また,本システムの農薬管理面への利用拡張について具備条件を検討し,具体案の考察を行った.なお,それらの実用化に当たっては今後さらに詳細な検討が必要である.
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