研究概要 |
近年リモートセンシング技術の農業分野への応用が進み,作物の栄養診断,病害発生評価,土地利用状況の評価などにおける有効性が明らかになっている.しかし人工衛星または有人飛行機からの観測は高コストで即時性に欠けるなどの理由により,一般の農家が利用可能な実用段階には至っていない. そこで本研究では,新しい観測手段としてマルチスペクトルカメラを搭載した小型無人飛行機の開発を行う.これにより10cm級の地上解像度を持つ精密な観測画像を,現在の人工衛星や有人機よりも低コストかつ即時的に得ることができる.またその画像データを用いて作物の栄養診断や病害被害度および発生範囲の判定を試み,地上での観測結果と比較して画像遠隔計測ツールとしての有効性を評価する. 平成23年度においては無人機の設計および開発の【第1段階】として,デジタルカメラ型マルチスペクトラルセンサ(TETRACAM ADC3,重量約500g)および,自動制御用機器を加えた600gの機材を搭載可能な小型無人機を作成した,設計は本研究に先立ち作成した試作無人機にならい,20%ほど大型化した電動プロペラ機とした.機体開発の第1段階では,機体の操縦およびカメラのシャッター操作は地上からのラジコン操作により手動で行うものとした.作成した機体を岩手大学滝沢農場において試験飛行を行い,基本的な飛行性能の確認(高度約100mでの水平飛行)および搭載機器(マルチスペクトラルセンサ,地上データリンク装置)の動作を確認した.
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