研究概要 |
近年リモートセンシング技術の農業分野への応用が進み,作物の栄養診断,病害発生評価,土地利用状況の評価などにおける有効性が明らかになっている.しかし人工衛星または有人飛行機からの観測は高コストで即時性に欠けるなどの理由により,一般の農家が利用可能な実用段階には至っていない. そこで本研究では,新しい観測手段としてマルチスペクトルカメラを搭載した小型無人飛行機の開発を行う.これにより10cm級の地上解像度を持つ精密な観測画像を,現在の人工衛星や有人機よりも低コストかつ即時的に得ることができる.またその画像データを用いて作物の栄養診断や病害被害度および発生範囲の判定を試み,地上での観測結果と比較して画像遠隔計測ツールとしての有効性を評価する. 平成23年度においては無人機開発の【第2段階】として無人機制御用機器の開発を進めた.周辺機器として,MEMS絶対圧センサを用いた気圧高度計およびMEMS相対圧センサを用いた小型軽量な大気速度計を開発した.またこれらの機器およびヒロボー製慣性計測装置と小型MCUを接続するためのI2Cバスインターフェース回路を開発した.小型MCU側においては,I2Cバス,シリアル通信,PWM信号入出力およびPIDコントローラの処理を行うリアルタイム制御プログラムを作成した. 開発中の制御基板を用いて地上局(ノートPC TOUGHBOOK)と機体間の無線データ通信(ZigBee)により慣性センサを用いた機体運動計測が可能であることを確認した.また機体動特性のモデリング作業に必要な,PID制御による飛行制御系を開発し,UAVの高度および機体姿勢の安定化を実現した.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度においても動特性のモデリング作業を継続し,これに基づいた制御系を開発した後,上空からのMNDVI値の計測実験を行う予定である.また制御用基板についてもGPS機能を追加し,指定地点飛行能力を得ることを目指す.また圃場におけるリモートセンシング実験を行い,その成果発表を予定している.
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