研究課題
本研究では、異なる4段階の酸素濃度環境下(5, 10, 15, 20%; 20℃)にホウレンソウ葉を貯蔵し、酸素濃度が鮮度評価の指標となる生体膜脂質の過酸化に対して与える影響について検討した。さらに、ホウレンソウ葉の近赤外スペクトルを用いたマロンジアルデヒド(MDA)当量の検量モデルの構築により、非破壊鮮度評価技術開発の可能性を検証した。研究の結果、いずれの貯蔵酸素濃度区においても、貯蔵日数の経過に伴いMDA当量は有意に増加することが示された。また環境の酸素濃度が低いほど、ホウレンソウ葉内のMDA当量の増加が抑制される傾向が示された。一方、非破壊的に取得したホウレンソウ葉の可視近赤外拡散反射スペクトルを説明変量としたMDA当量の検量モデルの精度は、決定係数R2 = 0.68、平均二乗誤差RMSECV = 25.95 nmol gDW-1であった。検量モデル構築の際に算出された回帰ベクトルの観察から、当該モデルの構築には可視領域の波長が積極的に利用されることが示された。このため、ホウレンソウ葉に豊富に含まれ、また鮮度評価の相対的な指標としても認識されているクロロフィル含量について調査した。その結果、クロロフィル含量は、本実験の貯蔵期間中はほぼ一定であり、MDA当量との相関も認められなかった。以上から、MDA当量が鮮度評価の絶対的な指標として極めて有効であることを明らかにすると共に、可視近赤外拡散反射スペクトルを用いたホウレンソウ葉の非破壊鮮度評価が可能であることを示した。本研究の成果は、将来的に実際の流通システムにおいて活用されることにより、従来にない客観的・定量的な『鮮度情報』を付加・活用した高度な青果物流通システムの提案・構築、および我が国の食品流通の信頼確保や高度化に貢献するものであると考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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The 2013 IFAC Bio-Robotics Conference
巻: - ページ: 321-325