研究概要 |
魚介類および肉類を原料とする冷凍ハンバーグパテについて、その表面にハロゲン光を照射した際の反射分光特性を、フーリエ変換赤外分光光度計の近赤外領域を利用して計測し、近赤外分光特性曲線における、それぞれの冷凍ハンバーグパテ表面の固有情報の分析を行った。また、食用のステルス管理コードとなる、近赤外用チェックポインター(Edible Checking Pointer=ECP)の候補物質として、糖、食塩、香辛料およびハンバーグパテ材料の魚介類および肉類とは異なる食品の抽出物を取り上げ、それらの近赤外分光特性を調査した。機器の測定域15,000(1/cm)~2,200(1/cm)のうち、分析領域(実効波長)を10,000(1/cm)~4,000(1/cm)に設定して牛肉ミンチおよび豚肉ミンチ、魚肉ミンチの冷凍サンプル表面の反射分光特性を測定した結果、肉類のミンチでは脂質含量によるものと推定される粗ピークが検出された他、魚肉ミンチでは、表皮を含んだ冷凍サンプル間で近赤外分光特性に差が見られた。ただし、測定ではフーリエ変換赤外分光光度計に反射分光アタッチメントを取り付けて行う必要があったため、光源からサンプル表面を経由して分光検出器に光が到達するまでの光路長が長くなった。このため反射光が非常に弱くなり測定した原曲線のS/N比が悪く、信号積算処理およびスムージング処理による分光特性曲線の安定化後も、固有ピーク検出のための一次・二次微分値に大きな変動が認められ、粗ピークによる傾向分析にとどまり、検出感度もしくは光源の増強が課題となった。そこで年度末にInGaAs型高感度近赤外検出器を導入し測定精度の向上を図り、継続分析中である。
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