初年度において、測定機器の検出感度の問題で粗ピークによる傾向分析にとどまっていた、表面分析について、新たに準備したInGaAs検出器により、測定感度を上げて計測を行った。供試材料には、冷凍ハンバーグを用いた。まず始めに、測定中の氷解による水分が反射スペクトルに与える影響について検討した。常温解凍開始から1時間経過後までの反射スペクトルの変化を10分ごとに計測し、二次微分分析の結果、冷凍ハンバーグ表面の反射スペクトル曲線中で、氷解水分の増加に伴い特徴的に検出されるピークとバレーを特定することができた。これにより、温度変化によらない冷凍ハンバーグ表面の固有スペクトル範囲を決めることが可能となる。また、食品の一般成分として用いられ、安全性の高い、食用試薬をECP (Edible Check Pointer)の材料として冷凍ハンバーグ表面に添加し、冷凍ハンバーグ単体、ECP添加冷凍ハンバーグそれぞれの反射分光特性を分析したところ、ECPとしての5つの識別波長を得ることができた。これらの識別波長を利用することで、冷凍ハンバーグの表面と、ECPのある箇所との識別を反射スペクトルから推定することが可能となる。糖質2種についても同様に計測を行った結果、反射率はいずれも低かったが、それぞれ3点の固有識別波長を得た。測定の過程で、ECPの粒度による反射スペクトルへの影響が課題となった。現在測定に用いている反射分光装置の場合、Ca.10mm径の反射範囲の平均であるためECPを直径10mm以上に設定している。この結果を受け、現在、10mm未満のECPを試作し、顕微分光法を利用した計測を行い継続分析中である。
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