工業製品とは異なり、食品の表面は不均一で、場所によって成分は異なる。逆に言えば、食品表面は、その場所ごとに異なる成分由来の特徴を持っており、食品表面の特定点での経時的に変化しない特徴をポイント・スキャンすることで、同じ種類の食品の個体を区別することが可能となる。また、表面の成分にばらつきがなく、特徴を見いだせない場合も、食品の表面とは成分が異なる物質を、意図的に付加することでも同じ原理で個体を区別することができる。 本年度は、調味食品を用いたECP(Edible Checking Pointer、食用チェックポインター)を作成し、これらの調味食品の光学的な特徴を明らかにするために、近赤外域での反射分光域での拡散反射スペクトルを測定した。同時に、これらのECPを冷凍食品に付着させて同様のスペクトルを取得し、両者のスペクトル上の共通点から、冷凍食品に付着させた場合にも、反射分光スペクトルで見いだすことのできる、調味食品によるECPの特徴を明らかにした。また、調味食品によるECPのこうした特徴が、冷凍食品の解凍によってどの程度消失する影響を受けるかについて調査した。 その結果、調味食品の種類によっては、付着させる冷凍食品の大きなスペクトルピークにより、その特徴が埋もれて判別できない場合もあったが、食味に若干変化を生じる可能性もあるが、付着量を増やすことにより光学的な特徴を強調させて利用できることが分かった。また、調味食品の一部で、解凍によるスペクトルの変化が、ECPの特徴域と重なる場合もあったが、一方で区別し易い調味食品も存在することが分かった。
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