研究概要 |
H22年度の研究課題は次の(1)から(3)である。(1)ディジタルホログラフィを実現する光学系の構築と調整.(2)エリアセンサで取得したホログラム像からパソコンで画像再生を行うための計算処理プログラムの作成.(3)ディジタルホログラフィを用いた透過物体に対する動作確認実験ならびに再生画像のSN比の評価. これらについて,具体的に以下のように進めた。(1)に関しては,1600万画素のデジタルカメラと位相シフトを実現するためにナノオーダーで位置制御ができるピエゾ素子を新規に購入し,光学系を構築した。脱脂綿を用いてホログラム像の取得実験を行った結果,それまで所有していた光学定盤では防震効果が不足で,床の振動によって再生像の品質に顕著な影響があることがわかった。そこで空気バネ式の防震台を導入し,それによって振動によるホログラム像への影響を約1/30に低減できることがわかった。(2)に関しては,位相シフトディジタルホログラフィの画像再生に必要とされる画像の回折計算プログラム等を作成し,脱脂綿を被写体として動作確認を行い,完成を確認した。計算処理を行うためのソフトウェア言語としてはNI社のLabVIEWを使用し,同社の画像処理関数パッケージであるVisionを購入して利用した。(3)に関しては,寒天培地をシャーレに入れたものをサンプルとして用意し,ホログラムの撮影と再生実験を実施した。現在まだ充分な検討ができていないが,寒天培地の存在によって透過光に位相乱れが生じるため,必要とする再生像が得られていない。 以上の結果から,寒天培地の影響による再生像の劣化を改善する方法や条件について検討することが現在最も重要な課題であり,H23年度に早急に検討する必要があることがわかった。
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