研究課題/領域番号 |
22580304
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
菅原 邦生 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50091947)
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キーワード | food intake / hypothalamus / monoamines / brain microdyalysis / chicken / 視床下部 / モノアミン / 脳微小透析法 |
研究概要 |
22年度の研究によって、L-DOPAを視床下部腹内側核に灌流すると、視床下部腹内側核細胞外液のドーパミンを通常値の2ないし3倍に増加せることができ、この時リジン欠乏飼料を食べる量がリジン要求量を満たした対照飼料を食べる量に匹敵することを見つけた. 23年度では、リジン欠乏飼料を摂取しているヒナの視床下部腹内側核ドーパミン量はリジンの経腸的投与で維持できるかを検証した。3週齢ヒナにリジン欠乏飼料を給与する1時間前にリジン溶液(0.07または0.1g/mL、それぞれリジンの1日摂取量の4分の1または3分の1に相当する)を筋胃に投与し、その後6時間に渡り腹内側核のドーパミン量を脳微小透析法でモニターするとともに、摂食量を調べた.この他に対照群および負の対照としてリジン欠乏飼料を摂取させ生理食塩水を投与した群をもうけた.その結果、リジン欠乏飼料を摂取していても、リジン溶液投与によって飼料摂取量の減少は阻害され、視床下部腹内側核ドーパミン量はリジン含量が要求量を満たしている飼料を摂取したヒナのものと差がなかった.しかし、生理食塩水溶液を投与すると飼料摂取量は減少し、視床下部腹内側核ドーパミン量は2.5時間後以降減少した.ノルエピネフリンとセロトニンには大きな変化がなかった.また、別のヒナにリジン溶液を投与して、経時的に採血し、血漿アミノ酸濃度を測定した.リジン投与によって血漿リジン濃度は1時間後に対照群より高くその後徐々に低下した. 両年度の結果から、リジン欠乏飼料摂取時に薬理学的方法(L-DOPA)または栄養的方法(リジン投与)のいずれの方法でも、視床下部腹内側核ドーパミン量を維持すると、摂食量減少を阻害できることが明らかになった. これらの実験と並行して、視床下部腹内側核に6-OHDA(ドーパミン神経を特異的に破壊する物質)を注入し、ドーパミン神経損傷ヒナの作成を試みたが未完である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の一部は未完であるが、24年度に実施し完了させることが可能である.
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今後の研究の推進方策 |
ここまでおおむね順調に進展しているので、これまでの成果をさらに確実なものにするように地道に取り組む.
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