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2011 年度 実績報告書

ビール酵母とその牛乳特異抗体によるアレルギー軽減作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22580306
研究機関信州大学

研究代表者

大谷 元  信州大学, 農学研究科, 教授 (30109201)

キーワード食品 / 乳利用 / 牛乳IgG / ビール酵母 / 抗原・IgG複合体 / I型アレルギー軽減 / マウス / 脱顆粒
研究概要

平成22年度は,BALB/cマウスを免疫に用いたビール酵母,ビール酵母に特異的な牛乳IgG,およびそれらビール酵母と牛乳IgGを含む飼料で飼育しながら,ダニアレルギーを誘導したところ,ビール酵母とそれに特異的な牛乳IgGを含む飼料での飼育においてのみ,ダニアレルギーの症状が有意に軽減することを観察した。このことは,ビール酵母とそれに特異的な牛乳IgGを同時に摂取すると後天的I型アレルギーが軽減することを示している。
そこで平成23年度は,遺伝的にI型アレルギーを自然発症するNC/Ngaマウスを,ビール酵母単独添加飼料,ビール酵母に特異的な牛乳IgG添加飼料,およびそれらビール酵母と牛乳IgGの双方を添加した飼料で飼育し,アレルギー症状,免疫細胞数およびアレルギーに関係するたんぱく質の遺伝子発現を調べた。また,マウスパイエル板細胞培養系を用いて,ビール酵母とその牛乳IgGによるI型アレルギー軽減メカニズムを検討した。
その結果,まず,ビール酵母とそれに特異的な牛乳IgGを添加した飼料での飼育においてのみ,I型アレルギー症状が有意に軽減することが示され,IgE産生細胞数や高親和性IgE受容体発現肥満細胞数の減少,肥満細胞の脱顆粒時にCaセンサーとして不可欠なSTIM1のmRNA発現が有意に低下することが示された。そこで,パイエル板細胞培養系を用いて脱顆粒に関係するたんぱく質であるSTIM1、ITKおよびBTKのmRNA発現を調べたところ,ビール酵母とそれに特異的な牛乳IgGを添加すると,それらのいずれの発現も抑制されることが示された。
以上のことから,ビール酵母とその牛乳IgGは肥満細胞の脱顆粒を抑制することによりI型アレルギーを軽減すると結論付けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ビール酵母とそれに対する牛乳抗体(とくにIgGクラス)を含む飼料でのアレルギーモデルマウスの飼育により,先天的(遺伝的)および後天的I型アレルギー症状はともに軽減することを確認したこと,並びにその軽減メカニズムは当初Th1細胞とTh2細胞バランスの改善によるためと考えていたが,肥満細胞レベルで生じていると言うことを示す新知見を得たことにより実験は順調に進展していると考える。しかし,口頭発表のみで,論文として公表出来ておらず,現在,論文作成中であることから「おおむね」と判断した。

今後の研究の推進方策

ビール酵母と牛乳IgGともに長い食経験がある。しかし,それらを同時に食べた場合,予期せぬ障害が生じないとは断定できない。そこで,ビール酵母とそれに対する牛乳IgGの毒性試験が重要てあると考えている。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] パン酵母とそれに特異的なIgGを含むシバヤギ乳IgG分画のマウスI型アレルギー軽減作用2011

    • 著者名/発表者名
      大谷元
    • 雑誌名

      New Food Industry

      巻: 53(8) ページ: 28-38

  • [雑誌論文] 牛乳および乳製品の免疫科学的研究の展開2011

    • 著者名/発表者名
      大谷元
    • 雑誌名

      ミルクサイエンス

      巻: 60 ページ: 199-206

  • [雑誌論文] Effect of Lactobacillus pentosus ONRIC b0240 on intestinal IgA production in mice fed differing levels of protein2011

    • 著者名/発表者名
      Shimosato T, Tomida K, Otani, H
    • 雑誌名

      Agriculture and Food Chemistry

      巻: 59 ページ: 2646-2651

    • DOI

      10.1021/

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A matured fruit extract of date palm tree (Phoenix dactylifera L.) stimulates the cellular immune system in mice2011

    • 著者名/発表者名
      Karasawa K, Uzuhashi Y, Hirota M, Otani H
    • 雑誌名

      Agriculture and Food Chemistry

      巻: 59 ページ: 11287-11293

    • DOI

      10.1021/

    • 査読あり
  • [学会発表] ビール酵母とその牛乳抗体のマウスI型アレルギーに及ぼす影響2012

    • 著者名/発表者名
      森崎健太郎, 松田孝裕, 岡田実, 堀江健二, 金武祚, 下里剛士, 大谷元
    • 学会等名
      第115回日本畜産学会大会
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋市)
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] ウシ後期初乳中の抗アレルギータンパク質の探索2012

    • 著者名/発表者名
      遠見和幸, 須賀正喜, 内田健志, 為定誠, 下里剛士, 大谷元
    • 学会等名
      第115回日本畜産学会大会
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋市)
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] ウシ後期初乳および常乳のマウスI型アレルギーに及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      遠見和幸, 清水努, 内田健志, 為定誠, 下里剛士, 大谷元
    • 学会等名
      第114回日本畜産学会大会
    • 発表場所
      北里大学(青森県十和田市)
    • 年月日
      2011-08-26
  • [図書] 母乳の力~牛乳タンパク質に秘められた生体防御機能2011

    • 著者名/発表者名
      大谷元(単著)
    • 総ページ数
      183
    • 出版者
      食品資材研究会
  • [備考]

    • URL

      http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/profile/ja.gCDNPpkh.html

  • [備考]

    • URL

      http://karamatsu.shinshu-u.ac.jp/lab/otani/j_index.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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