研究課題
本研究は、母ドリ卵黄へのIgY取り込みを担う「IgY受容体」を同定することを目的とする。本年度は、ニワトリの卵胞組織から形質膜画分を調整し、IgYとの結合活性を有する候補タンパク質を選別し、その候補タンパク質の同定を目指した。得られた結果の概要は以下の通りであった。1)受容体の局在部位(ペリビテリン膜と卵母細胞膜)と顆粒膜細胞層の混合組織から形質膜画分を調整し、IgY結合活性の検出を試みた。形質膜画分をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動法により分離した後、ブロッティング用メンブレンに転写し、IgYとの結合活性を検出した。その結果、約250-300 kDaの分子サイズにIgYの結合活性を検出した。このIgY結合活性は、未標識IgYを競合させると、減少するかまたは消失した。一方、未標識の牛血清アルブミンや卵白アルブミンを競合させても結合活性は変化しなかった。よって、250-300 kDaの分子サイズに含まれるタンパク質はIgYと特異的に結合することが判明した。2)形質膜画分の約250-300 kDaの領域に含まれるタンパク質を質量分析法によって同定した。その結果、8つのタンパク質が同定された。これらのタンパク質の中に、肝臓で合成・分泌されて卵黄に取り込まれる卵生動物特有のタンパク質「ビテロゲニン」が含まれていた。3)ウェスタンブロッテイング法を用いて形質膜画分でのビテロゲニンの存在を確認した。その結果、IgY結合活性が検出された分子サイズと同じ、約250-300 kDaの位置にビテロゲニンが検出された。4)以上の結果から、IgYはビテロゲニンと結合し、卵胞組織に発現するビテロゲニン受容体を介して卵黄中へ輸送されている可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Developmental and Comparative Immunology
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