研究課題
反すう動物のルーメンからは大量のメタンが排出されており、温暖化ガスの発生源として無視できない。本研究はルーメンに生息する水素生成微生物およびメタン生成菌と競合する水素利用細菌の多様性・動態・代謝活性を分子生態学的手法により把握し、各微生物群の相互作用を理解することを目的として行う。得られた情報から微生物の代謝を制御手段の開発につなげ、ルーメンからのメタン排出抑制を実現することにある。本課題はその礎となるものである。ルーメン内で、メタン生成菌はルーメン液中で自由生活をしているものと水素生成微生物と付着しているものに分けることができる。しかしながら、水素生成微生物と付着しているメタン生成菌の種類については不明な点が多い。水素生成微生物の嫌気性真菌は、メタン生成菌が付着している。本研究では、嫌気性真菌に付着したメタン生成菌の種類について調査を行った。ウシルーメン内容物から嫌気性真菌をメタン生成菌が付着した状態で分離し、その培養液のDNAから、mcrAクローンライブラリーを構築し、塩基配列を解読した。また、同じ個体からルーメン液のDNAからmcrAクローンライブラリーを構築し、塩基配列を解読した。これらのライブラリーを比較し、両サンプル間に違いについて検討した。ルーメン液ライブラリーではMethanobrevibacter ruminantiumに近縁の配列が70%を占めた。一方、嫌気性真菌ライブラリーではMethanomicrobium mobileに近縁の配列が70%を占めた。このことから、メタン生成菌の種類は、ルーメン液と嫌気性真菌に付着しているものとでは異なる事が示唆された。また、嫌気性真菌ライブラリーには未知のメタン生成菌の配列が含まれていたため、分離を試みたが成功しなかった。今後分離方法を改善することで、新奇メタン生成菌の分離が期待できる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Animal Science Journal
Molecular Biology Report
巻: 39 ページ: 10769-10774
10.1007/s11033-012-1969-1