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2010 年度 実績報告書

発酵性糖質によるウサギの窒素利用性改善とその作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22580309
研究機関岡山大学

研究代表者

坂口 英  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40170584)

キーワードウサギ / 窒素代謝 / 難消化性糖質 / 食糞 / 腸内微生物 / 盲腸 / 腸内発酵 / 血中尿素
研究概要

成熟ウサギの飼料タンパク質(窒素)利用効率に及ぼす異なる難消化性糖質(フラクトオリゴ糖(FOS),D-マンニトール,ペクチン)の影響を調べるために,食糞を許可あるいは阻止したウサギに難消化性糖質を添加した飼料を与えて,飼料成分の消化率,糞や尿中に排泄される窒素量を測定した。その結果,食糞を許可したウサギでは,フラクトオリゴ糖やマンニトールの飼料への添加によって,尿中窒素排泄量が有意に減少し,摂取窒素量に対する体内窒素保持量の割合(窒素蓄積率)が増加することが示された。しかしペクチンの飼料への添加では尿中窒素排泄量,窒素蓄積率に影響は見られず,糖質の種類によって効果が異なることも判明した。一方,食糞を阻止されると,フラクトオリゴ糖やマンニトールの窒素蓄積率改善効果は消失した。そのとき採取した盲腸糞中の窒素含量や,摂取窒素量に対する盲腸糞中窒素の割合は有意に増加していた。以上から,フラクトオリゴ糖やマンニトールはウサギの飼料タンパク質の利用効率を向上させることが示され,この作用は,これらの糖質が盲腸内微生物増殖を促すことにより,血中尿素を素材にして増殖した微生物体タンパク質のウサギによる摂取が増大したことによる可能性が示された(現在実証試験を行っている)。
本研究は,難消化・発酵性糖質を利用して,ウサギの飼料中窒素の利用性を向上させ,草類からの動物性タンパク質生産を,効率よく達成するための理論の構築とその応用をめざしている.上述のように,これまでにフラクトオリゴ糖やマンニトールには飼料窒素利用性改善効果があり,その効果発現メカニズムは,ウサギの特徴的な栄養摂取戦略である盲腸内容物の摂取(食糞)が関係することを明らかにすることができ,所期の成果が得られている。これらの成果は,効率的なウサギ生産技術創出への寄与だけではなく,環境に対する窒素負荷の軽減につながる点でも意義は大きい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Effect of indigestible sugars on nitrogen utilization in adult rabbits2011

    • 著者名/発表者名
      Xiao Li, Xiao Min, Tsuzuki Y. and Sakaguchi E
    • 雑誌名

      Animal Science Journal

      巻: 82 ページ: 296-301

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1740-0929.2010.00849.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ウサギの窒素利用性をフラクトオリゴ糖が亢進する2010

    • 著者名/発表者名
      都築勇太
    • 雑誌名

      草食実験動物

      巻: 33号 ページ: 19-26

    • 査読あり
  • [学会発表] Fermentable sugar increases transfer of blood urea N to cecal microbial N in growing rabbits fed timothy hay2011

    • 著者名/発表者名
      Xiao Li
    • 学会等名
      日本畜産学会第113回大会
    • 発表場所
      東京農業大学(演題受理後東日本大震災により中止)
    • 年月日
      2011-03-29

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公開日: 2012-07-19  

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