本申請では、無牧柵の放牧環境下において家畜などの管理動物を無人で効率的かつ省力的に飼養管理することを最終目的としている。すなわち、放牧地への管理対象動物の導入から退出までを管理し、さらに放牧中の動物の栄養状態や健康状態の把握、これらを基準とした牧区設定および牧区間移動にいたるまでを本申請で開発するシステムで行うものである。また、フリースタイルの無牧柵環境での草地状態(被度および栄養分布など)をGIS (Geographic Information System)を使って動物の摂草状況(本申請で開発する行動計測システムで計測)とシンクロさせ草地状態をシミュレートし、効率的に牧区設定および動物の移動を行うなどの総括的な管理体制を構築するまでを本申請における最終目標とする。 これまでの移動量計測システムはA1間欠信号を2方向交点計測法によるものであるが、本法は計測者による誤差(熟練度)が大きく、交点計測に手間を要するため、GPS情報をシステムに付加することで、簡易に高精度の位置情報が得られ、これによって家畜移動量が容易に計測できる。これまでに開発したシステムはGPS情報のみでなく、家畜の栄養状態において最も重要な採食・反芻・休息行動を同時に計測できるもので、これらの情報によって、家畜が「今どこで何をしている」のかをリアルタイムで確認することができる。これら開発したシステムの現場における検証することを本年度の目的とする。 平成22年度においては、上記のことを踏まえ家畜がどこで何をしているのかを集中的に管理し、リアルタイムで計測できるシステムの開発を行った。集中管理はPICで行い、PICでGPSデータならびに顎運動データを収集し、一定間隔で無線送信することで、遠隔地でリアルタイムに行動を計測することが可能となるシステムの開発を中心に行った。
|