研究課題/領域番号 |
22580314
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
田中 智夫 麻布大学, 獣医学部, 教授 (40130893)
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研究分担者 |
植竹 勝治 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00312083)
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キーワード | 健康・快適性 / 行動学 / 産卵鶏 / 畜産学 / 動物福祉 |
研究概要 |
本研究は、採卵鶏の福祉的飼育法について、実際の養鶏現場での導入の容易さを考慮して、従来型のケージの簡易な改良による鶏への効果を検討し、わが国において産業的に受け入れられる福祉ケージの開発を目的とする。平成22-23年度には、巣箱と砂浴び場を融合させて、その兼用の可能性を追究するとともに、止まり木の有無による違いを、行動および生理的に比較した。その結果、巣箱と砂浴び場を融合させた場合に、両目的に使用される場合と、巣箱としての使用に留まる場合が観察された。巣箱兼砂浴び場の明るさが関係する可能性が考えられたため、当初予定の実験2を先取りして囲い方を変えたところ、全面を覆い暗くした場合には、砂浴びの発現がほとんど見られず、入り口面だけを覆った場合には産卵および砂浴びの発現が見られ、覆う面を減らすことでより省資源化が図れた。止まり木は、設置したほうが活動性の増加が見られるものの、脚の状態はやや悪化する傾向が見られた。生理指標および生産性には、上記要因の明確な影響は見られなかった。平成23年度に開始した実験2では、当初予定を若干変更して2羽用の従来型バタリーケージを対照区とし、飼育密度を1.5倍にした大型ケージの1/3を巣箱兼砂浴び場にしその周囲をビニルシートで囲う改良ケージA、その巣箱兼砂浴び場部分の入口側1面のみにビニルシートを設置した改良ケージBを自作し、A、Bともに、巣箱兼砂浴び場に人工芝を敷く区と敷かない区を設定した。さらに、当初計画にはなかったビークトリミング(断階)の有無についての検討を加え、実験1と同様のデータ収集を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定の実験2を予定より早く開始でき、巣箱兼砂浴び場の省資源化を図れた。そこで、巣箱兼砂浴び場の床への人工芝の有無についても検討を加えることとした。また、夏季に羽毛つつきからカニバリズムに至るケースが見られ、ビークトリミングの検討が必要になり、それを実験に加えた。全体としては、若干の予定の変更はあったものの、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
開放鶏舎での実験のため、上記のように、特に夏季にカニバリズムの発生の可能性があり、ビークトリミングを実施しない区でのデータが十分に取れないことも懸念される。そこで、当初予定にはなかったビークトリミングを実施する区も設けたことにより、目的とした結果の検証は可能と考える。
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