【方法】同腹2日齢の雄子豚5頭を対照区、低T4投与区、高T4投与区、低PTU投与区、高PTU投与区に割り振った。試験期間は3週間とした。実験1:T4ナトリウム塩をエタノールに溶解し、低T4ならびに高T4投与区にそれぞれ10ug/kg、20ug/kgを毎日皮下注射した。低PTUならびに高PTU投与区には、それぞれ2mg/kg、4mg/kgのPTUを10mlの蒸留水に懸濁して毎日経口投与した。実験2:T4、PTUともに市販の経口投与用のカプセルを使って投与した。実験2ではT4、PTUともに投与量を高くし、T4を40および80ug/kg、PTUを4および8mg/kg投与した。T4の調整方法は実験1と同じ、PTUは粉末のままカプセルに詰めて投与した。(2)MHCタンパク質に対する抗体を用い、豚の胸最長筋および菱形筋の凍結切片上のMHCが検出可能か、免疫染色を行った。抗体の希釈倍率、抗原抗体反応の時間を決定した。 【結果1(1)実験1:血漿T3濃度に処理の効果はなかった。一方で、血漿T4濃度に対する処理の効果が認められ(P<0.05)、T4投与によって血漿T4濃度が対照区の約2倍に上昇、PTU投与によって血漿T4濃度が対照区の50%程度に低下した。実験2:80ug/kgのT4投与によって血漿T3濃度が約2倍に上昇、PTU投与によって血漿T3濃度が1/5程度に低下し、処理によって血漿T3濃度が変化する傾向が認められた(P<0.10)。実験1と同様、T4濃度は処理によって変化し(P<0.05)、T4投与で血漿T4濃度は約3倍に上昇し、PTU投与で血漿T4濃度は1/8程度に低下した。以上の結果から、実験2の投与方法を採用することとした。(2)I型のMHCに対する抗体、I、IIa、IIbに反応する抗体を用いて免疫染色を行い、それぞれ抗体の希釈倍率、抗原抗体反応時間を決定した。
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