研究課題
本研究は、遺伝子搭載サイズに制限がないヒト人工染色体(Human Arhficial Chromosome: HAC)ベクターを利用して、感染症、腫瘍の治療・予防および臓器移植や細胞・組織移植研究のための体細胞クローン由来モデル動物を確立することを目標としている。まず、安定的に蛍光タンパク質(GFP)を発現する遺伝子改変ネコを作出する。その手法として、GFP-HACベクターを挿入した体細胞を作製し、体細胞クローン技術により、遺伝子改変ネコを作出する。将来的にはHAC上に目的に応じた種々の遺伝子を搭載する。平成23年度は1)GFP搭載HACベクター受容細胞の検討ips細胞からのGFP搭載HACベクター受容細胞の再作製を試みたが、細胞継代により生存性が低下し受容細胞系列の樹立はできなかった。しかし、胎児線維芽細胞から再度GFP搭載HACを移入した結果、2系統の受容細胞系列の確立ができた。2)クローン胚の発育率を指標とした融合方法の検討GFP搭載HACベクター受容細胞を核として、ネコ除核卵母細胞と融合・再構築し、その後の発育率を指標に融合条件を検討した結果、3kV/cm,30μsecが最適であり、その発育率は40%であった。3)クローン胚の子宮内での発育性を解明GFP搭載HACを保有するクローン胚(GFP陽性)をレシピエントネコの卵管(1-2細胞期胚)に移植し、子宮内での胚の発育性を解明するため、5頭に移植し経過観察中である。
2: おおむね順調に進展している
GFP搭載HACを保有するクローン胚(GFP陽性)が作成でき、また作成した胚をレシピエントネコの卵管(1-2細胞期胚)に移植し、子宮内での胚の発育性を解明するため、5頭に移植し経過観察中である。
確立した受容細胞系列を使用し、作出したクローン胚をレシピエント雌に移植することにより実験モデルとなる基礎ネコの作成を試みる。正常に出生した場合、子ネコの胎盤および一部組織からGFP遺伝子およびHACベクターを確認し、子ネコの発育性について解析する。死流産胎子が発生した場合は、各臓器および胎盤からGFP遺伝子およびHACベクターのゲノムを確認し、各組織の病理組織学的評価を行うことにより、死流産の原因を解明するとともに体細胞クローン胚作成に使用した受容細胞を再評価する。
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Cryobiology
巻: 63 ページ: 170-174
Nature Methods
巻: 8 ページ: 853-859
10.1038/nmeth.1703