研究概要 |
IV型コラーゲンに7Sドメインに結合するウシPRP1の部域を特定する為に、ヒツジPRP1と同程度のペプチド鎖長に短縮した組換えウシPRP1タンパク質及び、アルカリフォスファターゼ融合タンパク質の作製を行なった。しかし、対照の完全長PRP1はタンパク質が発現したものの、C末端を短縮した短縮PRP1は組換えタンパク質単体と融合タンパク質の両者とも発現させる事ができなかった。 そこで本年度は、PRP1がタンパク質分解酵素によって切断を受けるか否かについて検討した。カテプシンとマトリックスメタロプロティナーゼのPRP1切断活性について検討したところ、カテプシンB、カテプシンD、MMP8にPRP1のC末端側を切断する活性が確認された。これらの酵素によるPRP1の切断は、ペプスタチンA,シスタチンC、GM6001等の特異的阻害剤の添加によって抑制された。また上記酵素は、ウシの胎盤組織で発現している事が確認された。前年度までの予備試験で胎盤組織の培養上清にウシPRP1切断活性がある事を確認していたが、これらの切断活性も上記阻害剤によって抑制される事が明らかになった。よってこれらの成績から、予備試験で確認されていた胎盤組織の培養上清によるPRP1切断活性はカテプシンやMMPによるものであることが示唆された。 本年度に作製予定であったウシPRP1抗体は、海外の研究者から提供を受ける事ができたので、本年度は作製しなかった。また、酵素切断されたPRP1のC末端のアミノ酸配列を決定する目的でTOF-Massによる質量分析を試みたが、C末端側のフラグメントが検出されなかった。
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