ウシのプロラクチン関連タンパク質-1(bPRP1)は、ウシのプロラクチン/成長ホルモンファミリーのノンクラシカルメンバーの一つである。しかしながら、その機能は未だ明らかでない。PRLは、カテプシンDやマトリックスメタロプロティナーゼ(MMP)で切断されると16kDaのN末端側断片が生成し、この断片はヒトやげっ歯類の血管新生を抑制する。本研究では、bPRP1にも此の様な機構が存在するのかどうか検証した。bPRP1は本来33kDaのタンパク質であるが、カテプシン、MMPおよびウシ胎盤組織外植片の培養上清によって切断されて26kDaのN末端断片を生成する事が明らかになった。酵素切断の前後におけるbPRP1の生物活性を、ウシ大脳毛細血管内皮細胞の増殖を指標として検索した。酵素切断で生じたbPRP1断片は、培養血管内皮細胞の増殖を促進した。本研究の成績から、bPRP1のN末端断片の血管内皮細胞増殖促進作用は、胎盤における血管新生に促進的に作用しているものと推察された。
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