研究課題/領域番号 |
22580339
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中嶋 秀満 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30405360)
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研究分担者 |
桑村 充 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20244668)
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キーワード | 疾病予防・制御 / 新規治療薬開発 / GAPDH / 脳神経疾患 / ドミナントネガティブ分子 / トランスジェニックマウス / 酸化ストレス / アミロイド |
研究概要 |
C152A-GAPDHドミナントネガティブ分子の生化学的および細胞生物学的解析およびトランスジェニックマウスの作製(担当:中嶋、桑村、大学院生1名) 前年度に発見したGAPDHドミナントネガティブ分子であるC152A-GAPDHの細胞保護メカニズムの詳細を明らかにした。すなわち、ドキシサイクリン誘導型C152A-GAPDH過剰発現SH-SY5Y神経芽腫を作製し、C152A-GAPDH過剰発現による一酸化窒素曝露特異的な細胞死保護効果を確認した(論文投稿中)。次に、ドキシサイクリン誘導型C152A-GAPDHトランスジェニックマウスを作製するために、pTRE2 vectorにhuman GAPDH(野生型)をNot I-Xba I siteを用いてクローニングを行い、Site-directed mutagenesis法にてCys-152をalanineに置換してC152A-GAPDH-pTRE2を作製し、Xho I-Ase Iで切断しトランスジーンを作製した。マウス(C57BL/6J)の477個のマウス胚に注入し、このうち460胚を計33匹の親マウスに移植し、148個体の仔マウスを得た。148個体の仔マウスを3種類のプライマーを用いたジェノタイピングを行い、トランスジーン高頻度挿入マウスを16系統選択した。現在までに2個体が死亡し、16系統のうち5系統が繁殖に成功している。また、トランスジェニックマウスの挿入頻度および染色体マッピングを明らかとするため、サザンプロッティングを実施した。現在、繁殖中の5系統マウスについて解析を進めている。また、より簡便で迅速な遺伝子発現方法として、Tet-A遺伝子含有アデノ随伴ウイルス(作製済み)の局所投与によるドキシサイクリン誘導発現法を確立した。加えて、トランスジェニックマウスの表現系解析には内在性GAPDHと誘導C152A-GAPDH過剰発現のバランスを緻密に制御する必要があるが、簡便・迅速なin vivoノックダウン法として、新型siRNAの脳室内投与法を新規に確立した(研究成果欄参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ドキシサイクリン誘導型C152A-GAPDHトランスジェニックマウスの作製し、5系統の繁殖に成功した。また、計画をさらに迅速かつ効率的に実施するため、新規研究方法(TET-A遺伝子含有アデノ随伴ウイルスによる遺伝子発現法および新型siRNAの脳室内投与法)の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
サザンプロッティングにより、5系統から2系統にまで絞り込む。挿入遺伝子の発現確認方法として、Tet-A遺伝子含有アデノ随伴ウイルス(作製済)の局所投与によるドキシサイクリン誘導発現を実施予定である。発現の確認後、酸化ストレス性脳神経疾患として、メタンフェタミン過剰投与によるパーキンソン病モデルおよびナイロン栓子法による中大脳動脈閉塞モデル(脳卒中モデル)を作製し(両モデル確立済)、個体レベルにおけるC152A-GAPDH分子の細胞死保護効果を確認し、遺伝子治療への応用可の能性を探索する。
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