本研究では、成熟脂肪細胞および顆粒膜細胞の脱分化機構の一端を明らかにする目的で、脱分化過程における遺伝子発現状況を網羅的に調べた。まず、ブタマイクロアレイで利用できる遺伝子機能情報は不足していることから、ヒトおよびマウスの全遺伝子に対する配列相同性検索を用いてブタの遺伝子機能予測を行なった。その結果、70%強の遺伝子機能情報を付与することに成功した。次いで、成熟脂肪細胞あるいは顆粒膜細胞の脱分化によって増減した遺伝子群および両細胞の脱分化に共通して増減した遺伝子群に関連する生物学的機能の特徴を推測した。その結果、各細胞の脱分化後に共通して、細胞増殖や細胞接着因子、細胞外マトリックス、細胞分化に関与する遺伝子群の発現上昇が認められた。
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