研究課題
研究目的と成果 本研究は、BSE牛の血液を用いて生前診断することを最終目的としている。本年度は、BSE血液中に出現するいくつかの自己抗体を検出し、その抗原を高感度に検出する方法を開発することを目的とした。本年度の成果として、質量分析計を用いてその可能性を見出した。具体的方法今年度は、四重極型質量分析計を用いて、定性を主目的とした。BSE血液中の自己抗体のうちグリア繊維性賛成蛋白質(GFAP)の抗体が、最も顕著に検出されることは判明し、その抗原を検出することとした。はじめにGFAP標準品を用いてTrypsinで消化し、LC-MS/MSを用いてDependentMS/MS測定を行い、MASCOT検索によりGFAPのみのシークエンスが検出された。SRMによる検出法で良好なスペクトルを得ることが出来た。次に、ウシ血清中で同様の測定を行った結果ぐ良好なクロマト結果が得られなかった。そこで、血清中に大量に存在する血清アルブミンを出来る限り除去した後に測定した結果、良好なスペクトルが得られた。結論 四重極型質量分析計を用いて、ウシ血液中のGFAPをSRM法により本体の質量とシークエンスより検出/定性することが出来た。得られた感度は従来の方法(ウエスタンブロッティング法)のおよそ20倍の高感度であった。今後は、様々の疾患牛血液とBSEと同様な疾患であるスクレーピーを感染させた実験動物マウス血液およびBSE罹患牛血液を用いて、GFAPの検出定性および定量を試みる。本研究が進展する過程で、BSEのみならず、様々な疾患サンプルを試みることによって、病態毎の自己抗体および自己抗原を検出し、マッピング出来、様々な疾患の血液診断に応用範囲を広げられる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的どうりに、四重極質量分析法を用いてウシ血液中に混入させた自己抗原GFAPの高感度(従来の20倍)検出法を確立した。
今後は、当初の計画どうりnanoLC-MS/MSを用いて、GFAPのさらに高感度検出定量法を確立し、様々の疾患牛血液とBSEと同様な疾患であるスクレーピーを感染させた実験動物マウス血液およびBSE罹患牛血液を用いて、自己抗体抗体GFAPの検出定性および定量を試みる。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
J Vet Med Sci
巻: 73(7) ページ: 917-922
Reproductive Toxicol
巻: 31 ページ: 26-34
J Biochem
巻: 149 ページ: 177-189
10.1093/jb/mvq131
J.Vet Scienc
巻: 12 ページ: 191-193
10.1016/j.reprotox.2010.09.007