研究概要 |
24年度以下の2つの項目を研究目的として進めた。 1)高感度MSに適した生体試料前処理法の検討について 生体試料には類似する夾雑物が非常に多く存在するので、安定した結果を導きだすには夾雑物を予め出来る限り取り除くことが重要である。しかしながら、網羅的解析を行うためにはなるべく多種類の生体成分を同時に分析することも必要なことである。我々の研究目的は、予め抗体を検出しておくことで ターゲットを絞り込むことが出来る。そのために目的蛋白質に応じて生体試料の前処理法を工夫することが出来る。実際には、当研究室研究生である前田尚之(食肉科学研究所)らが開発したC8およびC6固相カラムを用いたペプチド吸着の改良法を用いて、前年度特定された抗原蛋白質それぞれに関して添加回収試験を行い、吸着および溶出溶媒の検討を行い、高回収率で定量的な生体試料前処理法を確立した(業績1 Maeら J Biochem 2013, 153, 63-71)。 2)いろんな病気ウシ血清を収集し、病態毎の血清中逸脱蛋白質マップを作成する。 現在、我々は既に、イギリスBSE50頭、イギリスBSE疑似患畜50頭、日本健康牛1100頭、ウシ鉛中毒牛15頭、の血清およびイヌ脳炎脳脊髄液は既に収集した。これらの血清を上記自動分析により逸脱蛋白質マップを作成した。その一部を用いてイヌ脳炎における脳内逸脱蛋白質を同定した(業績3 Nakamuraら J Vet Med Sci 2012, 74, 751-756) こうした成果は、ここで開発したアッセイ法とマップを用いて、BSE牛の血清および脳脊髄液内逸脱タンンパク質の網羅的高感度解析を行なうことにより、生前診断に応用出来る可能性がある。
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