研究課題/領域番号 |
22580354
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
永幡 肇 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (10133571)
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キーワード | Bifidobacterium breve / 感染防御応答 / 有用微生物 / 乳腺感染制御 |
研究概要 |
牛の乳腺感染の制御を目的として候補有用微生物(probiotics)を乳腺感染分房へ投与(注入)し、乳腺の免疫応答性を評価すると共に感染防御能の誘導を検討した。また、有用微生物を乳腺感染分房へ注入しその効果の評価を試み下記の成績を得た。 (1)乳酸菌Bifidobacterium spp.のStaph. aureus感染乳腺への注入により乳体細胞のサイトカインTNF-α,IL-1betaおよびIL-8mRNAの発現応答性は正常分房のそれらに比較して増高していることが確認された。 (2)グラム陰性菌感染のモデルとしてのK.pneumoniae感染牛の病態把握を目的として、血清および乳中の急性相蛋白であるHpおよびα1-AGならびにIL-1betaおよびIL-6濃度を血清中および乳中で測定した。感染牛の血清および乳中のHpならびにα1-AG濃度は正常牛のそれらに比較して有意に増高していた。IL-1betaおよびIL-6濃度はK.pneumoniae感染回復牛で有意な増高が認められた。K.pneumoniae感染牛の血中HpとIL-6濃度間に有意な正の相関が認められたことから両指標は病態把握に有用と考えられ有用微生物の乳腺への適用評価に活用可能とみられた。 (3)難治性ならびに原因菌分離陰性の乳腺分房へのBifidobacterium breve注入による乳腺の反応性と適用効果を検討し、乳の微生物学的・免疫的性状として供試分房乳の乳体細胞数および免疫関連指標は有用微生物の注入により有意な変化が認められたことから感染分房への適応効果が認められた。 (4)S. aureusおよびE. coliに対する有用微生物の代謝産物であるbacteriocin-NicinAの影響の検討から、グラム陽性菌に対しては用量依存的に原因菌の増殖抑制が認められたがグラム陰性菌に対しては明らかな阻止効果は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の展開に野外の酪農場で飼育されている乳用牛への応用〔施用〕が含まれているため一部計画が変更されているが計画通り進められている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に継続して、野外の酪農場で飼育されている乳牛の乳房炎への応用〔施用〕を拡大して展開し、本研究で候補とした有用微生物の有用性を評価するとともに、in vitroでの免疫学的解析を加える。
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