今年度は、昨年度までの研究のデータを整理し、まとめて論文として提出することのみ行った。 現在ネコを用いたフェロモンの脳への影響をPETで撮影し、行動と照らし合わせてみたデータを提出した。猫の安寧フェロモンといわれるネコフェイシャルフェロモンを不妊手術前後の猫のケージに噴霧し、ネコの行動を観察したところ、フェロモン暴露のあった猫の方が不安行動が低いと考得られた。しかし、PETから脳の糖代謝を診たところ、フェロモン暴露は脳の糖代謝に何ら他の変化は与えていなさそうである。本実験からは今後は解析度の高いより鮮明なPET画像を得る必要性があることが示唆された。 また、ブタの飼育環境を操作し、ブタの飼育環境と行動を照らし合わせた研究結果もまとめて論文として提出している段階である。ブタは子豚を産むための母豚も、110キロを超えると肉となる肥育豚も狭い面積で飼育しているのが現状であるが、これは、豚の生産生と農家の経営を考えると崩せない現状がある。そこで本実験では安寧フェロモンをブタに暴露することを含むブタの環境からのストレスを軽減させるようなアイディアに着目していた。本研究ではいま問題となっている耕作放棄地の有効活用として使われていない土地でのブタの屋外飼育の可能性を探ることから研究を行っていた。 屋外の耕作放棄地を模した場所で妊娠、出産、育成させた豚のほうが身体的にも、生理的にも健康で免疫機能も高いことが示唆され、本研究内容を発表する段階にある。
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