研究課題/領域番号 |
22580360
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
佐々木 直樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (00360975)
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キーワード | 再生医療 / ゼラチンハイドロゲル / 骨形成蛋白 / 多血小板血漿 / 生体組織工学 / 足場 / ドラックデリバリーシステム / 幹細胞 |
研究概要 |
骨形成蛋白(BMPs)は骨再生の成長因子として、多血小板血漿(PRP)は形成転換成長因子β1(TGF-β1)を含み軟骨再生因子として基礎的研究が進められている。これらの因子の半減期は短いために関節内や広範におよぶ骨折部位に応用するには長期間にわたり因子の作用が維持されることが望ましい。近年、ゼラチンハイドロゲルを用いることにより、ある一定期間持続的に因子を放出(徐放化)するドラックデリバリーシステム(DSS)の生体組織工学の技術が確立された。また、セラチンにβTCPを含有させることで細胞の足場材としての強度を保有した生体分解性スポンジが開発された。そこで、BMP-2ならびにPRP含浸ゼラチンβTCPスポンジを用いることにより、骨ならびに関節軟骨の再生を促進させ、治癒期間を短縮することが期待される。本年度は、間葉系幹細胞のゼラチンβTCPスポンジ内における細胞増殖能の証明を行い、馬の骨欠損に対する間葉系幹細胞混合BMP2含浸βTCPスポンジの骨再生効果を明らかにした。さらに、関節軟骨欠損に対するPRP含浸ゼラチンマイクロスフィアの関節内投与により、線維性軟骨の再生を促進し、部分的な硝子軟骨の再生が可能であることを示した。最後に、サラブレッド種馬の距骨に発生した離断性骨軟骨症に対して、関節鏡視下において間葉系幹細胞混合BMP2含浸βTCPスポンジとPRP含浸ゼラチンマイクロスフィアを臨床応用し、骨再生ならびに関節軟骨再生効果を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年計画の研究目標のうち1年目、2年目は終了し、一部3年目の計画を遂行している。基礎実験が予測した成績を収めたことに加え、臨床例への応用を検討することが可能であった。現在、1年目ならびに2年目の研究計画に関する成績2件は国際雑誌に掲載され、別3件は国際雑誌にアクセプトされinprint中であり、残り7件が投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、最終年度の計画を遂行する予定である。すなわち、大腿骨内側顆骨軟骨欠損モデルを作成し、TGF-β1含浸ゼラチンスポンジ、BMP-2含浸β-TCPゼラチンスポンジおよび間葉系幹細胞(1×107)の骨増生への影響を評価する。これにより、大骨軟骨欠損の大きい腿骨内側課骨嚢胞等に対する生体組織工学を用いた再生医療を構築する。さらに、臨床研究をすすめることで、骨および関節軟骨疾患に対する生体組織工学を用いた再生医療技術の確立を目指す予定である。
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