研究概要 |
1.犬および猫の腎疾患の病態におけるRA系/COXの関係:剖検により得た犬23頭,猫13頭の腎臓を病理組織学的および免疫組織化学的に検索した。免疫染色はレニン,アンジオテンシンII(Ang II),シクロオキシゲナーゼ(COX)-1および-2について行った。腎病変と各々の免疫反応は定量的に評価した。レニンの陽性スコア:犬,猫とも,如何なる病変パラメータとの間に有意な相関を認めなかった。Ang IIの陽性スコア:犬では間質の陽性スコアがすべての病変パラメータと有意な相関を示した。猫では尿細管の陽性スコアが糸球体硬化および細胞浸潤スコアと有意な相関を示した。COX-1の陽性スコア:犬,猫とも,如何なる病変パラメータとの間に有意な相関を認めなかった。COX-2の陽性スコア:犬では緻密斑の陽徃率と糸球体のサイズとの間に有意な相関が認められた。猫では陽性緻密斑を付随する糸球体は院生緻密斑を付随する糸球体に比べて硬化スコアが有意に高かった。以上の結果は,犬と猫の腎疾患の病態発現にはRA系とCOXが関与するが,そのメカニズムには種差があることを示唆している。 2.健常犬の腎臓のレクチン結合パターン:新規診断治療マーカー探索のためのツールとしてレクチンについて検討を始めた。本年度は,健常犬の腎臓におけるレクチン結合パターンを解析し,病態解析に向けての基礎データを作成した。 3.腎疾患モデルに対するCOX阻害剤の効果:片側尿管結紮マウスの尿細管間質傷害に対するCOX阻害剤の影響について検索を始めた。サンプリングが終了し,現在データの解析中である。
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