研究課題/領域番号 |
22580366
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
山下 和人 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (60244844)
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キーワード | 獣医麻酔 / 全静脈麻酔 / 馬 / メデトミジン / ブトルファノール / リドカイン / プロポフォール / 呼吸循環機能 |
研究概要 |
本研究では、動物に優しく(副作用が少ない)環境にも優しい(大気汚染がない)全身麻酔法の開発と普及を目指し、その最有力候補としてメデトミジン-リドカイン-ブトルファノール-プロポフォールの持続静脈内投与を用いた全静脈麻酔法(MLBP-TIVA)の麻酔効果と安全性を実験的に検討した。本研究は、基礎的検討および臨床的検討で構成し、本年度は、臨床的検討として本学附属動物病院で外科手術を実施した症例馬27頭にMLBP-TIVAを応用した。これらの供試馬のうち19頭には野外での去勢術の全身麻酔法としでMLBP-TIVAを応用した。残りの8頭については、手術室内での外科手術の長時間麻酔として応用した。 これらの検討の結果、臨床例における馬のMLBP-TIVA麻酔は、倒馬後に一時的なパドリングがみられることに注意が必要であるが、円滑に外科手術を進めることができ、良好な麻酔回復を得られることから、馬の全身麻酔法として有用であると考えられた。MLBP-TIVAは、野外での去勢術の全身麻酔法として臨床応用できるものであった。また、手術室内での長時間麻酔では、調節呼吸によって換気と酸素化状態を劇的に改善でき、強い循環抑制が生じやすい仰臥位において調節呼吸を実施しても馬の循環機能をほぼ良好に維持することができた。MLBP-TIVAでは倒馬後に一時的なパドリングがみられることに注意が必要であるが、良好な麻酔回復を得られることから、馬の全身麻酔法として有用であると考えられた。また、調節呼吸によって換気と酸素化状態を劇的に改善でき、強い循環抑制が生じやすい仰臥位において調節呼吸を実施しても馬の循環機能をほぼ良好に維持することができた。MLBP-TIVAは馬の全身麻酔法として臨床的にも有用と結論された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、昨年度は基礎的検討[1]馬におけるMLBP-TIVAの麻酔効果の検討、[2]MLBP-TIVAにおける馬の呼吸循環器系への影響、および[3]MLBP-TIVAにおける調節呼吸と保定体位が馬の循環器系へ及ぼす影響について検討が終了し、本年度には臨床例にMLBP-TIVAを応用できた。基礎的検討のうち、[4]MLBP-TIVAにおける中枢神経系への影響および[5]馬のMLBP-TIVAにおける各薬物の薬物動態について、検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的検討の目標症例数は50頭であり、当初の計画どおり平成24年度も臨床例への応用を継続する。また、基礎的検討[4]MLBP-TIVAにおける中枢神経系への影響および[5]馬のMLBP-TIVAにおける各薬物の薬物動態について、検討を進める。
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