研究課題/領域番号 |
22580368
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
加納 塁 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00318388)
|
キーワード | 遺伝子タイピング / 乳牛 / プロトテカ乳房炎 / 防除法 / 消毒剤 / プロトテカ / 藻類 / PCR |
研究概要 |
乳牛におけるプロトテカ乳房炎の集団発生は、その防除法が確立されていないため、酪農家へ甚大な損失となる。さらに乳製品の国内生産の向上のためにも早急の対策が必要である。しかしながら、本邦でプロトテカ乳房炎の疫学調査および防除対策は今まで十分に検討されていなかった。 本年度の研究同的として、愛知県、北海道、千葉県の農業共済および家畜保健所の協力の下でバルク乳、乳房炎乳汁、健康牛乳汁、搾乳機、牛舎環境の試料からプロトテカを分離し、我々が確立したPCR法でプロトテカの遺伝子タイピングを行い、全国的に本疾患の原因菌がGenotype2型によるものかどうか確認するとともに、感染源の特定を行った。その結果、愛知県、北海道、千葉県の乳房炎乳汁から分離したプロトテカは全てGenotype2型であった。一方、牛舎環境からは、Genotype 1型であった。このことから従来プロトテカ症は、環境からの感染とされていたが、牛の常在藻類による日和見感染症の可能性がたくなった。 さらに、防除法を検討するために、液体培地微小希釈法による罹患牛および牛舎環境各分離株の各種消毒剤に対する感受性を調べ、野外分離株における遺伝子型と薬剤感受性との関連を検討した。 その結果、プロトテカ性乳房炎罹患牛乳汁由来P.zopfii genotype2:10株および同罹患牛飼養牛舎内環境由来P.zopfii genotype1:10株の全てで、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンおよびクロルヘキシジンは等しく次亜塩素酸、ポピドンヨードより強い感受性を示した。また、二酸化塩素には感受性を示さなかった。プロトテカ乳房炎の防除には、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンおよびクロルヘキシジンが最も有用性があると思われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標である感染源の特定は、日和見感染の可能性がはっきりしてきたので、おおむね順調に進展していると考えている。また、乳牛に使用可能な感受性のある消毒剤が選別できたので、本研究目的の防除法の確立に向かって進展していると評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
乳牛のどの部位にプロトテカが常在しているのか、乳牛の皮膚、粘膜、ルーメン、糞便からのサンプリング調査を行う。これは、今までの農済および家畜保健所との協力研究下で十分推進可能であると考えている。これによって、研究目標である感染源の確定が判明する。
|