研究課題
犬のワクチンアナフィラキシーを発症する可能性を事前に把握する診断システムを構築するため、その原因と考えられている牛血清アルブミン(BSA)に対する犬IgE測定系の構築に着手した。これまで、BSAに対する犬IgE定量検査システムを抗犬×マウスIgE抗体を利用して構築するため、IgEが上昇し易い系統の各種マウスに、BSAをアラムアジュバントともに腹腔内注射、経皮感作することによって血清中IgEの上昇を確認した。その後、脾臓を採取してミエローマ細胞株と融合することで、BSAに対するIgEを産生するハイブリドーマをスクリーニングした。各ハイブリドーマの培養上清中のマウスtotal IgE及びBSA特異的IgE濃度をマウスIgE測定用のELISA法を用いて検討したが、IgE産生ハイブリドーマは何度試みて得ることができなかった。そこで、抗犬×マウスIgE抗体を使った測定系を諦め、犬のIgEを使う測定系を樹立することに変更した。しかしその場合、犬のIgEでBSAを認識するものを作成しなければならない。そこで、我々は犬の脾臓から抽出したRNAより犬IgE領域をコードする遺伝子をクローニングして発現タンパク質として犬IgEを作成することにした。一方で、これまでに得たBSAを認識するマウスIgGハイブリドーマから、抗原認識部位をクローニングした。これを先の発現犬IgEタンパクの抗原認識部位の遺伝子部分に置き換えることによって、BSAを認識する犬IgEを作成することに変更した。
3: やや遅れている
免疫した後抗体価の上昇を確認したマウスから、IgE産生ハイブリドーマを得ることができなかった。IgG産生ハイブリドーマを得ることができたことから、IgE産生クローン数が非常に少ないと予想された。
現在、犬IgE組換タンパク質による抗体作製に着手し、その抗原認識部位をBSAを認識するマウスIgG産生ハイブリドーマから特定する作業を行っている。その認識部位の特定が終了したら、犬IgE組換タンパク質の抗原認識部位をそれに置換することで、BSAを認識する犬IgEを完成させることができる。
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Veterinary Immunology and Immunopathology
巻: 145 ページ: 447-452
Journal of Veterinary Medical Science
巻: 73 ページ: 1309-1317
doi:10.1292/jvms.10-0410